🌸 保護者のこころとくらし きょうだい児のケアはどうすればいい?我慢させない家庭での配慮と支援団体まとめ
発達障害のある子のきょうだい(兄弟姉妹)に、つい我慢をさせてしまう——多くの保護者が同じ罪悪感を抱えています。まず結論として、きょうだい児への配慮は「時間の長さ」より「短くても確実にある一対一の時間」と「年齢に合った説明」が柱になります。そして、きょうだい児を支える専門の団体やきょうだい会も存在します。この記事では、きょうだい児が抱えやすい気持ち、家庭でできる配慮リスト、実在する支援団体、親の罪悪感との付き合い方をまとめました。
きょうだい児とは?
きょうだい児とは、障害や病気のある兄弟姉妹をもつ子どものことです。支援の文脈では、漢字の「兄弟姉妹」と区別して、ひらがなで「きょうだい」「きょうだい児」と表記されます。
障害のある子(本人)への支援に比べて、きょうだい側の育ちや気持ちは長く見過ごされてきました。しかし近年は家族支援の一部として注目され、当事者団体による発信や自治体の支援も少しずつ広がっています。大人になった当事者は「きょうだい」と呼ばれ、全国規模の会が60年以上活動を続けています。
きょうだい児が抱えやすい気持ち
きょうだい児は「我慢」「寂しさ」「罪悪感」「責任感」といった複数の感情を、口に出さないまま抱えやすいと、当事者団体などの知見で指摘されています。
- 我慢・寂しさ: 親の時間や関心が障害のある子に向かいがちで、「自分は後回し」と感じやすい
- 親を困らせたくない気持ち: 「自分までワガママを言えない」と本音を抑え、手のかからない「いい子」を演じることがある
- 説明できないモヤモヤ: 兄弟姉妹の障害を友達にどう説明すればいいか分からず、からかいへの対応を一人で抱えることがある
- 将来への責任感: 「親なきあとは自分が面倒を見るのか」という不安を、早い時期から感じる場合がある
💡 ポイント
これらの感情は「そう感じてしまう子が悪い」のでも「親の育て方が悪い」のでもなく、状況から自然に生まれる反応です。まず親がこの構図を知っていること自体が、ケアの第一歩になります。
家庭でできる配慮リスト
完璧を目指す必要はありません。次のうち、できそうなものから1つ始めれば十分です。
✅ 家庭でできる配慮リスト
- 一対一の時間を「予定」として確保する:週1回15分でも、きょうだい児だけと過ごす時間をカレンダーに入れる。「たまたま空いた時間」ではなく「あなたのための時間」と伝わることが重要
- 障害について年齢に合った言葉で説明する:隠すと子どもは自分なりの(しばしば否定的な)解釈をする。「苦手なことがあって練習に通っている」など事実を簡潔に、成長に合わせて説明し直す
- 「お手伝い」と「ケア役割」を区別する:見守りや通院同行などを日常的に担わせすぎない。家族の世話を過度に担う子どもはヤングケアラーとして支援対象になり得ると、こども家庭庁も位置づけている
- 感情を出してよいと伝える:「嫌だ」「ずるい」と言えたときに叱らず、「そう感じるよね」と受け止める
- きょうだい児自身の予定を犠牲にしない工夫をする:障害のある子の預かり先を使い、きょうだい児の行事や習い事を優先する日をつくる
- 園・学校の先生に状況を一言共有しておく:担任に「下の子の通所で本人に負担がかかりがち」と伝えておくと、外の大人がきょうだい児を気にかける目が1つ増える
障害のある子の預かり先としては、日中一時支援や放課後等デイサービスなどが使えます。

きょうだい児支援団体・きょうだい会
家庭の外に「同じ立場の人がいる場所」があることは、きょうだい児にとって大きな支えになります。実在が確認できる主な団体・サイトを紹介します。
| 団体・サイト | 概要 |
|---|---|
| シブコト(Sibkoto) | 障害者のきょうだいのためのウェブサイト。当事者同士の交流やコラムなど、きょうだい向けの情報発信を行う |
| 全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会(全国きょうだいの会) | 1963年発足の当事者団体。各地の定例会や講演会で、きょうだいの体験や「親なきあと」の悩みを共有する |
| 地域のきょうだい会・きょうだい支援プログラム | 自治体や親の会、発達障害者支援センターが子ども向けのきょうだい会を開催している地域もある。支援センターへの問い合わせで案内を受けられる |
子ども時代に参加できる場が近くにない場合も、親がこうした団体の発信を読み、きょうだい児の気持ちの「予習」をしておく使い方ができます。
親の罪悪感との付き合い方
「きょうだいに我慢させている」という罪悪感は、きょうだい児に関心を向けている親だからこそ生まれる感情です。罪悪感がある時点で、あなたはきょうだい児を見ています。
そのうえで、罪悪感に飲み込まれないための考え方を挙げます。
- 目標を「平等な時間」ではなく「それぞれに確実に届く時間」に置き換える。物理的に同じ時間を割くことは、そもそも不可能な状況が多い
- 親自身の余裕を確保する。親が限界の状態では一対一の時間の確保は難しいため、親の休息の制度や相談先を先に整えることは、回り道ではなくきょうだい児ケアの一部です
⚠️ 「ごめんね」の繰り返しに注意
謝るより「ありがとう」を増やしましょう。「我慢させてごめんね」が続くと、きょうだい児は「自分は我慢している被害者だ」という自己像を強めることがあります。
まとめ
- きょうだい児とは、障害や病気のある兄弟姉妹をもつ子どものこと。我慢・寂しさ・責任感を口に出さず抱えやすい
- 配慮の柱は「短くても確実にある一対一の時間」「年齢に合った説明」「ケア役割を負わせすぎない」の3つ
- 家族の世話を過度に担う状態はヤングケアラーとして支援対象になり得る
- シブコトや全国きょうだいの会など、きょうだい当事者の団体・サイトが実在し、情報源として使える
- 罪悪感は関心の裏返し。「平等」ではなく「それぞれに届く時間」を目標にし、親自身の休息も確保する
よくある質問
きょうだい児とはどういう意味ですか?
障害や病気のある兄弟姉妹をもつ子どものことを、ひらがなで「きょうだい児」または「きょうだい」と表記して呼びます。支援の文脈では、本人(障害のある子)と区別して、その兄弟姉妹側の育ちや気持ちに注目するための言葉です。
きょうだい児に障害のことをいつ・どう説明すればいいですか?
決まった正解はありませんが、きょうだいが疑問を口にしたときが一つのタイミングとされています。年齢に応じた言葉で「苦手なことがあり、練習に通っている」など事実を簡潔に伝え、一度で終わらせず成長に合わせて説明し直していく形が勧められています。
きょうだい児はヤングケアラーになりますか?
全員がなるわけではありませんが、家族の世話を日常的に担う状態が続けば、ヤングケアラーに該当する場合があります。こども家庭庁は、家族の世話を過度に行っている子ども・若者を支援の対象と位置づけています。手伝いの範囲が年齢相応かどうかを時々見直すことが大切です。
きょうだい児が親に本音を話してくれません。どうすればいいですか?
きょうだい児は「親を困らせたくない」と感じて本音を抑えることがあるとされています。無理に聞き出すより、一対一の時間を定期的に確保し、話さなくても一緒に過ごせる関係を続けることが土台になります。きょうだい会など家庭外の居場所も選択肢です。