📋 制度とお金 療育手帳が取れなかったら?IQ基準で非該当でも使える支援と次の選択肢
この記事の目次
「療育手帳を申請したのに取れなかった」。検査まで受けたのに非該当と言われると、支援の入り口を閉ざされたように感じてしまいますよね。先に結論をお伝えすると、療育手帳が取れなくても、精神障害者保健福祉手帳や通所受給者証など、使える制度は残されています。この記事では、非該当になる理由と、その後に取れる3つの選択肢を2026年時点の情報で整理します。
療育手帳が取れなかったのはなぜ?IQ基準のしくみ
療育手帳が非該当になる最大の理由は、知的発達の遅れが基準に達していないと判定されたためです。
療育手帳は、児童相談所または知的障害者更生相談所で「知的障害がある」と判定された人に交付される手帳です(厚生労働省)。つまり発達障害の手帳ではなく、知的障害の手帳という位置づけです。判定基準は各自治体が定めており、おおむねIQ70〜75以下を目安とする自治体が多いとされています。
そのため、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)の診断があっても、知能検査の数値が基準を上回ると非該当になる自治体が多いのが実情です。一部には発達障害の特性を考慮した独自運用を行う自治体もあり、同じ子どもでも地域によって結果が分かれることがあります。
💡 ポイント
非該当は「支援が必要ないという認定」ではありません。困りごとの程度と手帳の判定基準は別物で、IQの数値だけでは生活のしづらさは測れません。
なお、検査結果の数値の意味や凸凹の見方はWISC-Vの結果の見方で詳しく解説しています。
取れなかった後の3つの選択肢
療育手帳が非該当だった後に検討できる道は、大きく3つあります。
📘 精神障害者保健福祉手帳
- 発達障害も交付対象に含まれる
- 初診から6か月経過後に診断書で申請
- 税の控除や割引など手帳のメリットが使える
🎫 通所受給者証
- 児童発達支援・放課後等デイサービスの利用に必要
- 手帳がなくても取得できる自治体が多い
- 療育(発達支援)につながる最短ルート
🔁 療育手帳の再判定
- 申請回数に法律上の制限はない
- 就学前後など節目で判定が変わる例もある
- 前回から期間を空ける運用の自治体もある
どれか1つを選ぶものではなく、組み合わせて使えます。順に見ていきましょう。
精神障害者保健福祉手帳なら発達障害も対象
手帳のメリット(税の控除・各種割引・障害者雇用枠など)を使いたい場合、精神障害者保健福祉手帳が有力な選択肢になります。
精神障害者保健福祉手帳は、統合失調症やうつ病だけでなく発達障害も交付対象としており、知的障害の有無は要件ではありません(こころの情報サイト)。年齢の下限もないため、子どもでも取得できます。申請には初診日から6か月以上経過していることと、所定の診断書が必要です。等級は1〜3級に分かれ、日常生活や社会生活の制約の程度で総合的に判定されます。
「精神障害」という名称に抵抗を感じる保護者の方は少なくありませんが、手帳の情報が学校や周囲に自動的に伝わる仕組みはありません。手帳制度全般の心配ごとについては療育手帳のデメリットとは?も参考にしてください(心配の構図は精神の手帳でもほぼ共通です)。
通所受給者証は手帳なしで取れる
児童発達支援や放課後等デイサービスに通うために必要なのは、手帳ではなく通所受給者証です。
受給者証は障害児通所支援を利用するための証明書で、市区町村が交付します。交付にあたって手帳の所持は必須ではなく、医師の意見書や自治体の判断で取得できる自治体が多くあります(こども家庭庁)。療育手帳が非該当でも、週数回の療育に通う道は開かれているということです。
受給者証と手帳の制度の違いは受給者証と療育手帳の違いで、通所支援で何が得られるかは児童発達支援は意味がある?で詳しく解説しています。

療育手帳の再判定という道もある
子どもの発達は変化するため、一度非該当でも再申請は可能です。
検査時の体調や環境で数値が変わることもあり、就学前後の節目に再判定で結果が変わった例もあります。ただし、手帳を取ること自体が目的にならないよう、「いま必要な支援は何か」から逆算して考えるのがおすすめです。
手帳がなくても使える支援一覧
手帳の有無にかかわらず使える支援は意外と多くあります。主なものを整理します。
| 支援 | 必要なもの | 窓口 |
|---|---|---|
| 児童発達支援・放課後等デイサービス | 通所受給者証 | 市区町村の障害福祉窓口 |
| 発達障害者支援センターの相談 | なし(診断がなくても可) | 各都道府県・指定都市のセンター |
| 学校での合理的配慮 | 手帳は不要(実態に基づき相談) | 在籍校・教育委員会 |
| 特別児童扶養手当 | 診断書による障害程度の認定 | 市区町村の窓口 |
| 自治体独自の相談・親子教室 | 自治体により異なる | 子育て支援課・保健センター |
内容や条件は自治体により異なるため、まずはお住まいの市区町村の障害福祉窓口か発達障害者支援センターで「手帳なしで使える支援」を聞いてみましょう(2026年時点)。
まとめ
- 療育手帳は知的障害の手帳のため、発達障害でも知的な遅れがないと非該当になる自治体が多い
- 非該当でも精神障害者保健福祉手帳は発達障害を対象としており、子どもでも取得できる
- 児童発達支援・放課後等デイサービスは通所受給者証があれば手帳なしで利用できる
- 再判定(再申請)は可能で、就学前後などの節目で結果が変わる例もある
- 支援の内容・基準は自治体差が大きいので、市区町村の窓口と発達障害者支援センターに相談を
よくある質問
発達障害の診断があれば療育手帳は取れますか?
診断名だけでは取れません。療育手帳は知的障害の判定に基づく手帳のため、発達障害があっても知的発達に遅れがないと判定されると非該当になる自治体が多いです。ただし一部の自治体では発達障害を考慮した独自運用があり、基準は地域によって異なります。
療育手帳に落ちたら特別児童扶養手当ももらえませんか?
手帳と手当は別の審査です。特別児童扶養手当は診断書に基づいて障害の程度を認定する制度で、療育手帳が非該当でも精神障害や発達障害の状態によっては対象になる場合があります。お住まいの市区町村の窓口で確認してください。
療育手帳の再判定は何回でも受けられますか?
申請回数に法律上の制限はありません。子どもの発達の状態は変わるため、就学前や進学のタイミングなどで再申請し、判定が変わるケースもあります。前回の判定から一定期間空けることを求める自治体もあるので、児童相談所に相談してみましょう。
手帳が何もなくても放課後等デイサービスは使えますか?
使えます。児童発達支援や放課後等デイサービスの利用に必要なのは通所受給者証で、手帳とは別の制度です。医師の意見書や自治体の判断があれば、手帳を持っていなくても受給者証を取得できる自治体が多くあります。